映画『悲情城市』のこと。


20代のなかばから30代の頃、
アジア映画をたくさんみていました。

アジアの映画は、
食べるシーンがひんぱんに出てきます。

台湾映画『悲情城市』
(ひじょうじょうし/ホウ・シャオシェン監督)
にも、印象的な食事シーンがふたつあります。

ひとつは、トニー・レオン演じる文清と妻・寛美が
ふたりで食事をしているシーン。
ごはん茶碗を手にしながら、
卓上の本を夢中で読んでいる文清のその茶碗に、
箸でおかずを取って入れてあげる寛美。

もうひとつは映画のラスト、大家族・林家の食事シーン。
次男は太平洋戦争で日本軍に徴用され、
南方へ行ったまま帰ってきていない。
三男も戦争へ行き帰ってはきたが、気が触れてしまっている。
長男はやくざとのいざこざで殺されてしまう。
トニー演じる、写真館を営む耳の聴こえない四男も、
中国国民党に抵抗する仲間の青年たちとともに
弾圧逮捕されてしまう。(「二・二八事件」)

しかし、そのような悲運に見舞われても、
残された家族の日々の生活はつづきます。
食べて、生きていかなければならない。

大家族が食事をしているシーンを
少し離れたドアのすき間から、のぞくような目線で定点撮影。
(しかも家族の一部しかうつっていません。)
ずいぶんとながいロングショットでこの映画は終わります。
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50年もの日本支配が終わった直後の時代を描いているため、
日本人が登場したり日本語がきこえてくるシーンもたくさんあり、
いろいろなことを考えさせられます。
受験のために年表を暗記するだけでは、
想像することのできない台湾の市井のひとびとの歴史。

(日本のあとにやってきた中国があまりにひどかったたために、
台湾は日本という国や日本人にたいして好意的ではあるけれど、
他国に統治支配され、言語も変えられるなどということは
民族の尊厳をうばわれることであるし、
どう考えてもやっていいことではないとわたしはおもっています。)

台湾の激動の時代を描いているというのに、
深い森のなかの湖面のような静けさをたたえた
すばらしい群像映画です。






by tabicranio | 2014-11-03 00:00 | ◎日々、旅々。〈日々の雑記〉

熊本市中央区新屋敷にて、自律神経系や自己治癒力にアプローチできるクラニオセイクラルセラピー <頭蓋仙骨療法>の個人セッションをおこなっています。東京・表参道や豊洲での個人セッションも毎月開催。


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