『今、ここからすべての場所へ』

 「変わり得る」ということは、人生において一番大切なことなのではないか。それは必ずしも「旅する」ことの中だけにあるとは限らない。しかし「旅」こそが、私たちの魂をざわざわと突き動かすことができることも確かである。松尾芭蕉が書いたように、そもそも人生というもの自体が「旅」なのかもしれない。これらの文章を書きながら、私はずっと旅を続けてきた。
旅することの力学は複雑である。外面が変化するとともに、自分の内面も移ろう。「世界が今までとは違った場所に見えるということがあり得る」ということが、私たちが生きていく上での最良の「恵み」となる。過去の自分が否定され、乗り超えられる。やさしき自己否定の深き喜び。始めた時と終えた時で自分が同じ自身ではなくなるという奇跡に感謝。
 何かに出会った時に、どれくらい新しきものを受け入れることができるか? この「受容」のプロセスこそが、変化の階段を上るための鍵となる。心の振れ幅こそが、精神の若さを測るメルクマールとなるのである。
 新しい事態に立ち至った時、心が凛と緊張する、あの間合いが好きだ。バリ島の砂浜で驚くほど精巧にできたサンドキャッスルを見たとき。九州の田舎町で、名も知らぬ食堂に入った夕べ。沖縄の斎場御嶽の空気に包まれた午後。イギリスの大学街の煉瓦作りの間をひたすら歩き、孤独がしみ入り、なぜか新宿の雑踏が懐かしくなった夜。アメリカでタクシーに乗っていて突然、自分の身体を支えている地球という巨大な土塊のありさまを実感した瞬間。これらの人生のスナップショットたちすべてが響き合って、私というケシ粒のような存在の変貌のプロセスを祝福してくれた。
 それらの時間は、もはや戻ってこない。文字として定着することで、かろうじて想い出すよすがとなる。過去から未来へと、決して戻ってくることのない流れ。意識の神秘も、生命の不思議も、すべて「時」という偉大なるパラドックスの果実である。
 旅することが私たちの宿命ならば、その定めを喜んで享受しよう。いつか死ぬまで、変化し続けることが避けられないのならば、運命の暗闇から目を上げて太陽を見つめよう。自分たちの眼自体を陽光としよう。避けられないことから逃げずにむしろ抱きしめる、その魂の姿勢のなかに真実があると信じて。


『今、ここからすべての場所へ』(茂木健一郎・著/筑摩書房)
<「あとがきー旅することが私たちの宿命ならば」より抜粋>
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by tabicranio | 2015-10-28 00:00 | ・旅にまつわるものたち

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